「僕は人を見る目がない。だから採用は他の役員のチェックがはいる」
吉田さんは、ドリコム時代に大量採用の上で大量離反の経験や、
そのあとに創業した前会社では、腹心の離反を経験している。
そのようなつらい経験の中で、「人に感謝される」ことをやりたいのだと気づき、
クラウドワークスの創業にいたるわけだが、
事業のヒントをもらったのは、サイバーエージェントベンチャーズの田島さんだ。
腹心の離反がなければ第二の創業に至らなかったかもしれないし、
田島さんから「クラウドソーシング」というビジネスを学ぶ機会がなかったら、
いまのビジネスがなかったかもしれない。
人を見る目がない人物が、結局は人に恵まれ、大きなビジネスチャンスの機会を手に入れている。
「ITサービスはコモディティ化されている。差別化要因などない。」と言い切るものの、
上記のような経緯や、もともと持っていたBtoBの営業経験、役員構成、株主構成、
そして初期の参画クリエイターや参画企業など、ゴージャス感をもって臨んでいる。
重要なのは「勢い」があるかどうか。
サービス面でも「勢いがあるように見せる」ことが大事だし、
資金調達のタイミングも、国光氏、佐藤氏と同様、勢いのついた瞬間である。
時価総額があがるまで待つようなやり方は「今時のやり方」ではない。
投資家に多少株を持たせても、もらえるときにもらい、
事業に勢いつけて、その分、いろいろチャレンジすればいい。
そういうエコシステムができているんだから、それにのればいい。
吉田さんは、人の話をするときよりも、資金調達の話をするときの方が口が流暢だ。
自分が代表ではない役員だったときのことをふまえて、
いま代表として気をつけていることは、最後は自分がケツをふくということ。
逆にいえば、現場の仕事はほとんどを任せている。
サービスのUXに違和感をおぼえたときだけ口を出すぐらいだという。
もはや自分のやることは、他の社員にできないことになってきている。
講演やロビー活動、IR、リスク要因の分析と対策など、社長業というやつだ。
とはいえ、最後に責任を持つ者が別の人になると、離反がはじまる。
「代表と、それ以外の役員は、そもそも違うもの。わかりえるようなものではない。」
「37歳になって俺もようやく大人になりました」と、会場が笑い声で埋まった。
「ただ一人というのも間違い。株主にメンターがいるし、採用については役員の意見をきく。」
悩むことが多かった時代を経ているからこそ、こういう言葉にいきつくのだ。
【無料PDF】IT新規事業でのビジネスモデルの作り方
「新しいサービスでビジネスを作りたい人」が参加した「IT道場」で語られていた「新規事業のレシピ」をこっそりプレゼントいたします。150ページ以上のPDFになりますので、プリントアウトするときはご注意ください。とくにカラーでプリントすると、上司に怒られます。