経営学は孫子の兵法から生まれました。
孫子の兵法、あるいは武学は勝つためのものではありません。
今回はレノンリー氏による「孫子の兵法」の解説をご紹介します。
サマリー
自分のエネルギーをコントロールする
孫子の兵法は、自分も負けないし相手も負けさせないためのものです。
その相手とは、お客さんであったり、従業員であったりします。
全ての人が負けない環境ができれば、あとは向上しかありません。
孫子の兵法では、「自分のエネルギーをコントロールしなさい」と言っています。
エネルギーが変われば、性格も変わるし、感情も変わり、思考も変わります。
言葉の使い方、エネルギーの使い方をしっかり学べば、経営も人生も「百戦危うからず」です。
自分が描いた意識の地図にエネルギーは従う
実は、力の弱い方が力の強い方をコントロールできます。
倒そうという概念ではなく、彼と一緒になる、一体化しようという心がけひとつで、事態は好転します。
チームがうまくいくか、経営がうまくいくかは、人の問題ではありません。
社長が頑張って、自分だけ知識や経験を得るパターンはもう古い考え方です。
強いリーダーシップはすでに古く、弱いリーダーシップこそ、今から取り組むべきことです。
西洋式成功哲学には罠があり、アファメーションにも穴があります。
これからの経営は「武士道」にあります。
「武」とは、二つの戦いを止める、つまり戦わないという意味です。
孫子の兵法には、「百選百勝は、善の善にあらず」とあります。
100回勝とうと思っていることはレベルが低いといえます。
また、言語がエネルギーの鍵を握っているということも伝えています。
ある文字を読んだ瞬間に全部のエネルギーが変わります。
言語の使い方を間違えれば、自分のエネルギーもぐじゃぐじゃになります。
逆に、言葉で内なる神を発動することができます。
そして、自分が描いた意識の地図にエネルギーは従います。
何のために生きているのかを悩む時代
これからAIの時代になり、シンギュラリティにより、マネジメントもマーケティングもAIの時代になります。
我々は人工知能やロボットと共存する生活を目指さなければなりません。
もはや人間の頭脳はコンピューターに叶わなくなってきております。
しかしながら、人間には肉体があります。
武学では「肉体の言うことに従え」ということを学びますが、それは、頭より体の方が賢いという前提にたったものです。
見えない空間は自然で存在していて、そこを察知できる能力は体にあって、脳では察知できないのです。
これらかお金のいらない世界になり、人々は何のために生きているのか悩むようになります。
「私はこういうあり方、生き方で、この人生をやり切るんだ」ということもまた、肉体の察知能力にかかわるのです。
天才が頭から学んだことを体から学ぶのが「体術」
武学を経営に取り入れて成功した人といえば、諸葛孔明や徳川家康があげられますが、最近ではビルゲイツや孫正義でしょう。
そもそも、彼らは、書物という文字から、叡智をインストールできる天才です。
私たち一般人は、なかなか難しいものです。
そんな時に誰でも可能なことが、肉体の体感を通じて学ぶこと、つまり体術なのです。
体から学ぶことができれば、頭でいろいろと思考することなく、「内なる声」を聞くことができます。
経営者がよりよいパフォーマンスをあげるには?
起業といえば「自分の夢を実現する」という動機で行うことが多いでしょう。
しかしながら、事業を組み立てる「起業」と「経営」は意味が違います。
経営とは、「経済」を営むことです。
経済とは福澤諭吉が作った造語ですが、「経世済民」の略で「民を救って世の中をよくすること」です。
経営者とはすなわち、世のため人のために活動する人のことをいいます。
前述の「夢」を追いかけるのは起業家、経営者は「志」をもって行動する人です。
武学では、この「志」をもつほうが、安定したエネルギーを発揮するとしています。
志が高いと事業の成功確率が高まる理由とは?
位置エネルギーとは高いところにいれば、それだけ持ってるエネルギーが大きいという物理の法則です。
これを経営に置き換えてみましょう。
「私のため」という意識と、「全人類のため」という意識では、後者の方が高い意識です。
その高さの違いこそがが、位置エネルギーの高さ同様、ポテンシャルエネルギーの差となります。
夢というのは、自分にベクトルが向いたエネルギーであり、志は世のため人のため、未来のためというように外を向いているエネルギーです。
外を向いているエネルギーの方が大きいというのは、まさにこの意識の高さに起因しており、事業の成功確率も格段にあがるのです。
事実、志が高い人は、エネルギーが体に通りやすくなり、すぐに行動に移すことができます。
戦略とは戦いを略すること
ミカエル(天使)がいればルシファー(堕天使)がいます。
陰陽の法則では、光があれば、影があります。
悪があるのは正義があるからだともいえます。
正しさが「悪」が作るともいえるし、闇があるから光が差すともいえます。
まさに、武学は闇に目をむけることで光を見出しました。
武学はもともと「人殺し」の技からはじまっています。
それを追求することで、やがて「人を殺さない方法」を生み出しました。
どうやって、人を殺さずに自分のやりたいことを達成させるのか、が武学の基本なのです。
それがまさに「戦略」です。「戦い」を略することなのです。
ピータードラッガーが日本の経営で驚いたこと
経営の神様であるピータードラッガーは、もともと宗教家や政治家を動かす思想家でした。
活動していくうちに、「経済にメスを入れないことには世の中は変わらない」と悟り、経営コンサルタントの道を歩みます。
世の中を変えるには経営者を変えるのがその近道だというわけです。
ピータードラッカーが、ある時、来日して、会社を見学しました。
ちょうど、会社の終業チャイムがなった時、誰も帰る社員が見当たりません。
ドラッガーは帰らない社員に「なんで帰らないのか?」と尋ねたところ、
社員は「仕事は終わっていないのに帰らないのは当然」だと答え、大変驚いたそうです。
200年以上続く企業は、世界に5000社ほどあり、その8割は日本の会社です。
100年以上続く企業は日本は27000社、2位のドイツでも5000社に満たないのです。
上記のことは、日本の経営の仕組みが、世界一であり、究極の経営だといえる一つの証拠でもあります。